『給水タンク鑑賞の手引き』を作りました
このたび、『給水タンク鑑賞の手引き』という、A5判30ページの小冊子を制作しました。
建物の屋上に載っている高置水槽と、建物の脇や地下に設置されている受水槽。
この2つの水槽をまとめて「給水タンク」と呼びます。
その給水タンクについてまとめた本です。
このブログや2018年に刊行した『団地の給水塔大図鑑』で扱っている給水塔とは別のものです。
給水塔はあくまでも、何かに載っているのではなく独立して立つ塔のこと。
「給水塔って屋根に載っているタンクのこと?」と言われるのですが、それは高置水槽。
混同してほしくないなあと常々思っていました。
(ただし、例えばベッヒャーの写真集『給水塔』には高置水槽も収録されており、この辺の定義はそもそも世間一般に広く使われている言葉ではないので難しいところですが……)
そんな中で給水塔とは別のものとして、あえて給水タンクについてまとめてみるのも混同を避けるという点でも意味があるのではないかと思ったこと。
いざ給水タンクについて調べようと思ったら気軽に入手できる文献が見当たらなかったこと。
そして新型コロナウイルスの影響で今までのようにあちこちの給水塔を気軽に見に行けず、近所にもある給水タンクに目が向いたこと。
いろいろなことが重なり、今回こんな冊子を作ることになりました。
普段このブログで扱っている団地や給水塔とはあまり関係ないものと思っていましたが、その歴史を調べると、日本における給水タンクの普及にはあの日本住宅公団が深く関わっていることが判りました。
そんな話を「給水タンクの歴史」という項にまとめています。
『団地の給水塔大図鑑』と同じように、形状別で高置水槽を紹介しているページもあります。
そして給水タンクの中でも特によく見かけるFRP製のパネルを組み合わせたタンクについて、メーカーごとに紹介するページも。
メーカーごとに異なるパネルの模様について解説しているので、このページを読めばタンクを見ただけでメーカーが分かるようになるかもしれません。
本書では、全国の珍しい給水タンクを収録するというよりは、むしろどこにでもありそうなものを収録することにこだわりました。
どこにでもあるものを鑑賞することの面白さが伝わればいいなと思っています。
(と言いつつ、いくつか変わり種のタンクも収録していますが)
まだまだ続くかもしれないコロナ禍の中での息抜きとして、散歩のお供にしてもらえれば嬉しいです。
お取扱い店は今のところシカクの店頭とオンラインショップのみです。
よろしくお願いします。
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